
現在、日本で使用されている自動ドアモーターはすべてDCブラシレスモーターを使用しています。
いっぽう、オートスライドはDCブラシ付きモーターを採用しております。
ブラシ付きモーターは回路を持たず、電池につなげばすぐに動きます。
価格は同じトルクであればブラシレスモーターより圧倒的に安いです。
ただし、ブラシレスモーターに比べて寿命が1/10以下という弱点があります。
日本の自動ドアでブラシレスモーターが使われないのは、第一には、この寿命のためです。
しかし、自動ドアは通電中ずっと動いているわけではなく、必要な時以外は止まっています。
かりに一日200回開閉、一度のモーター駆動時間を往復で5秒とします。
200(回)×5(秒)×365(日)=で、一年でたった101時間しか動きません。
ドアを動かせるほどの大型のブラシ付きモーターの寿命は一般的に2,000~3,000時間です。
ブラシレスモーターの寿命はその10倍の30,000時間。
つまりブラシレスモーターは自動ドアを300年ぐらい動かせる計算です。
実際は自動ドアはプーリーやベルトが痛むため、数年に一度は必ず保守点検をします。
また、モーターやその周辺の電子機器も10年もすれば全交換を推奨され、20年ノーメンテナンスで動く自動ドアは珍しいでしょう。
つまりまずは10年きっちり動くのであれば、ブラシ付きモーターで必要十分なのです。
もちろん、ブラシレスモーターの利点は寿命だけではありません。
制御応答性や低騒音など、ブラシ付きモーターより優れた点が多数あります。
ただし、これらはブラシ付きモーターがまったく実現できないものではないのも確かです。
自動ドア程度の制御に関していえばエンコーダを使用すれば全く問題なく、同じことが実現できますし、ドアの駆動音のほうが大きい自動ドアではそもそも低騒音は問題にもなりません。
なんでも最高をあてておけばよい、実績があるから、というのは安全を重視しているようでいて、一種の設計上の甘えです。
本当に優れた設計とは「最適解」を求める設計です。
オートスライドは家庭用自動ドアとして開発され、そのためにいかに「安く」、「小型」で「ノーメンテナンス」をテーマに設計され、それらの課題解決策として、ブラシ付きモーターを選びました。
私はオートスライドの日本版の技術監修者として、いくつものオートスライドを分解、長期テストしています。
日本で発売して今年で4年目ですが、最初に販売したお客様の製品は現在でも全く問題なく動いていますし、3年経過して市場からサンプル抽出したモーターを分解しても、ブラシの摩耗は非常に少なく、すくなくともモーター寿命に関しては十分以上だと確認しています。
「これでよかった」
「こんなシンプルな機械でこれほど高度なことができるんだ」
オートスライドのご利用者の皆様から等しくいただく感想です。
いままでの常識、慣例をうたぐってみること、挑戦することから、イノベーションは始まります。
オートスライドはまさに自動ドアのイノベーションです。