後付け自動ドアキット・オートスライドが持つ普通の自動ドアとは違う設計思想

シンプルイズベストの後付け自動ドア・オートスライド

手動ドアを後付けで自動化する場合の問題点

一般的に日本国内における自動ドアは、自動ドア装置と専用ドア、枠のセットからなり、「自動ドアシステム」と呼ばれます。

日本にはJIS規格という、工業製品の規格がありますが、ここには自動ドアの規格もあり、これも「自動ドアセット」として規格化されています。

これは日本に限った話ではありません。

私は以前、自動ドア用のモーターを製造、販売する会社におりました。

そのころ、日本市場が飽和状態であったため、台湾・中国向けの自動ドア用モーターについてセールスのプロジェクトが持ち上がりました。

驚いたのは、どの国も自動ドア用のモーターや回路はほぼ同じです。

中国や台湾は、日本のナブテスコ社やドイツのドルマ社の自動ドアを参考にして開発を始めたようなので、似通ってくるのも分かります。

また、自動ドア設置時に、新規でドアとドア枠を設置するのも日本と同じで世界共通でした。

自動ドアシステムにおいて、規格化された新しいドアを使う理由はトラブルがないからです。

一方で、手動ドアは規格化されていないため、それこそ無数のサイズ・タイプがあります。

また、使用環境や使用者によってドアの状態も変わってきます。

つまり、ひとつとして同じものがありません。

これらに後付けで自動ドアを設置することは、できないとは言わずとも、面倒で難しいことは確かです。

また、ビジネスの観点からは、ドアとセットのほうが単価が上がりますし、販売後のフォローも少ないですから、手離れもよいです。

自動ドアメーカーや職人さんが、「手動ドアの自動化は嫌だ」というのは分かる話です。

ただ、お客様からすると、そうではないです。

自動ドアは当たり前のものとなりつつあります。

より身近に、家庭や工場や施設の手動のドアを自動ドアにできないか、と考えるのもまた当然です。

特に日本では、高齢化や人手不足による省人化や衛生管理の問題などから、自動ドアへの注目が高まっており、手動ドアを自動ドアにするニーズは増えてきております。

後付け自動ドアの3つの方式

手動ドアを自動ドアにするのは難しいことはわかりました。

でも、実際、世の中には後付けで手動ドアを自動ドアにする製品はいくつかあります。

それらは、大別すると、3つの方法からなります。

1)マニュアル対応

手動ドアを自動化するときに問題となるのは『ドアの幅や重さをどう読み込ませるか』です。

ドアがゆがんでいたり、途中でひっかかったりするからです。

これに対応するため、ドアに合わせて、ドアの幅・重さ・感度などを一点ずつマニュアル設定させる方法。

自動設定だと一律に設定してしまうため、ドアがしっかりと作られていないと設定ができない場合がありますが、この方法であれば、ドアの幅や引く力などを個別で設定し、また閉める際の慣性による滑りも、人の手で設定しますので、形になります。

設定調整は大変で、ある程度、慣れも必要です。

日本製の後付け自動ドアで採用されているタイプです。

2)フルカスタム

1,000のドアがあれば、1,000の対応をしてしまう、いわゆるフルカスタムです。

弊社のオーダーメイドタイプ後付け自動ドア製品・FAS07がこれにあたります。

ドアに合わせて自動ドアの引き方式を変え、場合によっては補強工事をし、戸車を特殊ベアリングに変えたりします。

センサー類も現場ごとに違った提案をします。

製品も、後付け化を前提とした設計となっており、電源入れる度に、最新情報を自動ドアに読み込ませます。

多数の現場をこなし、ノウハウがあればできないことではないですが、技術とモーターやセンサーについての経験、知見が必要です。

施工は専門の職人が行う必要がありますし、最初にどの方式でやるかを見極めることがとても大切です。

3) 難しいことはせず、ものごとをシンプルに、単純化する

この、3つめがオートスライドの方式。いえいえ、ふざけているわけではないですよ(笑)。

オートスライドの設計思想・難しい問題の解決方法が難しくある必要はない

オートスライドは2008年に豪州のオートスライド社の社長、マーク・ハンコックが開発しました。

この製品で北米および日本で特許も取っております。

繰り返して述べていますが、後付けで手動ドアを自動化する難しさは、一元化できない、千差万別のドアをどうやって、ひとつひとつ対応していくかにあります。

オートスライドを設計したマークはこう考えました。

「後付け自動ドアは自動ドアではない」

つまり、普通の自動ドアと同じモーター、同じ制御方式で自動ドア化する必要はない。

そして、ここが大切。

「とにかくドアが動き続けるように設計する」

オートスライドは初めて電源を投入すると、自動でドアの幅と引き始めの重さを測ります。

そして、以後、この設定値通りにモーターを動かし続けます。

例外はこの値以外の数値が出たとき。

オートスライドはモーター、つまりドアを停止、反転させます。

オートスライドの設計思想は「後付け自動ドアにおける問題はすべて手動ドアに問題がある」というもの。

つまり『手動ドアに自動ドアを合わせこむ』という上2つの方法とは真逆で、オートスライドでしっかり動くように『手動ドアをオートスライド側に寄せる形で調整する』という考え方です。

オートスライドはギアとラックでドアを動かします。

そして、このギアとラックがしっかり組み合わさっており、ドアを引いている最中、引きはじめより大きな力=引っかかりがなければ、何百、何千、何万でもドアを動かし続けます。

そして、うまく動かないときは「動くようにドアを調整してください」という方法を取ります。

これは非常にシンプルで、それだけに分かりやすく、実際、1,500台近くのオートスライドを販売してきたなかで、問題が報告された事例はすべてドアを課題することでクリアしました。

たとえば建物がゆがんでいおり、ドアの閉める力が一定でないドアは、あえてラックを斜めにとりつけ、一番最初に大きな力がかかるように調整しました。

手動ドアが自動ドアとして動けば「そのドアが正しい」、動かなければ「ドアが間違っている」というふうに、問題を明確化させて対処するのがオートスライドです。

シンプルにすることは複雑であることより難しい、というスティーブ・ジョブズの言葉を思い出します。

オートスライドの初期型の映像を観たことがあります。

初めはもっと別の形をしていました。

ベルトドライブ使い、もっと複雑な機構を持っていました。

弊社ファースト・レイズは、オートスライドと本社と頻繁に技術的なやりとりをします。

そこで触れるオートスライドの設計思想は、とにかくシンプルに、シンプルにです。

日本版オートスライドもこの点を継いで、たとえば日本オリジナルのセンサーを開発した際も、コード1本で接続し、設定が不要など、とにかくシンプルさにこだわりました。

とかく新たな製品を作るときは機能を盛り込み、それを売りにしようとしますが、大事なのは、目的です。

自動ドアが動く、毎日、誤動作なく、壊れずにずっと動く。

オートスライドはその目的のために、あえて機能、構造をシンプルにしています。

難しい問題への回答が難しくある必要がない、という、とてもわかりやすい例です。

もちろん、私たちの販売する、オーダーメイドタイプ後付け自動ドア製品・FAS07のように、技術、ソリューションの提供を売るような製品、システムもありです。

これもある意味では、難しい問題を、ある程度分類、バリエーション化してシンプルに対応する方法ですが、オートスライドはその極みです。

当然、すべてのドアに対応するわけではないですが、それでよい、と割り切ったのがこのシステムの良さです。

ちなみに私はオートスライドを100台以上テストし、自宅や工場のあらゆるドアにつけました。

襖や障子にさえつけましたし、戸棚のドア、間仕切りドアも試しています。

また、お客様の例では、移動可能な喫煙ブースの入り口に設置いただいたり、展示会での自社ブース入り口のドア、看板、芸術作品(絵を入れ替える)などでも使用いただいています。

こちらで想定されていない用途にも使われているのが、すごいですよね。


オートスライドの詳しい製品情報はこちらから


株式会社ファースト・レイズCEO

この記事を書いた人

株式会社ファースト・レイズ代表・八木幹夫。2級建築施工管理技士。日本電産サーボ株式会社にて自動ドアなどの産業機器向けモーターの技術営業を5年経験した後、株式会社ファースト・レイズを設立。後付けに特化した自動ドアの開発・施工販売をしています。趣味はドライブ、アウトドア、読書、車いじり。

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