HACCP(ハサップ)ってなに?自動ドア化によるHACCP対策

haccp

HACCP(ハサップ)とは

食品加工にかかわっている方には馴染みのある言葉だと思いますが、「HACCP(ハサップ、ハセップとも)」というものがあります。

HACCP(ハサップ)とは、一言で言うと「食品についての衛生管理の国際的な基準、手法」のことです。

HACCPは、5つの英単語の頭文字を取った造語です。

「Hazard(危害)」
「Analysis(分析)」
「Critical(重要)」
「Control(管理)」
「Point(点)」

この5つの単語はHACCPの考え方を示しております。

さらに上記の5つはHACCPの基本となる2つの大きな考え方に分けられます。

つまり、

1)「Hazard・Analysis →(危険分析)」

2)「Critical(重要)な危険をControl(管理)し、Point(点)として見えるようにする」

工業製品については、ISOなど国際的な品質基準、ルールづくりがありました。

HACCPもこれと同様で、WHO(世界保健機関)やFAO(国連食糧農業機関)によって提言された「安心で完全な食品を消費者にとどけるためのルール」と理解いただけば良いかと思います。

HACCP(ハサップ)は「考え方と管理の手法」であって検査のことではない

よくある勘違いとして、HACCP(ハサップ)って検査なの?というものがあります。

HACCP(ハサップ)は検査ではなく、あくまで考え方と管理の手法です。

自動ドアを導入してHACCP対策した弊社事例

食品工場でHACCP

弊社が体験した事例を使って説明しましょう。

食品製造メーカーであるA社は、以前から生産ラインの衛生管理を徹底していました。

しかしながら、抜き取り検査をすると、自社の製造ラインから、ごくわずかに食中毒菌に汚染された食品が発見されることがありました。

そこで現場管理者と経営陣は次のように考えました。

「今はまだ社内で発見できているから良いが、万一のことがあるので、抜き取り検査の頻度を増やそう」

これに対して、HACCPに照らし合わせると次のような答えになります。

「検査を増やすのは管理ではありません」

そもそも、抜き取りサンプルを増やしても、微量であっても一定数の汚染がある以上、確率的には市場流出はゼロになりません。

どうして食品が汚染されるのか、その原因を分析し、排除する必要があります。

この工場では、材料ラインから生産工程まで、すべての従業員の手洗い、手袋、マスク、帽子衣類等の徹底した衛生管理を行っています。

ふつうに考えれば、食品汚染は起きないようにみえます。

原因はなんなのかということを徹底的に考えたところ、次のような問題が見つかりました。

工場内の一部に開き戸があり、そのドアは定期的に拭き取り掃除をするのみでした。

そして、かなりの数の従業員が入退室の際に手袋でその開き戸のドアノブに触れることがわかりました。

このドアのドアノブが汚染源なのでは、経営陣は考えました。

対策として、拭き取り掃除数を増やすのではなく、ドアノブごと開き戸を撤去し、自動ドアを導入し、ドアそのものを非接触での通過ができるようにしました。

実際、この自動ドア化により、検査ラインでの汚染製品の検出は激減しました。

ドアが元凶だったのです。

経営者はこの考えを拡大し、なぜドアが汚染されていたかを考えました。

そして、直接の因果関係は発見されずとも、工場内でも食中毒原因菌がもっとも多いトイレの入り口ドアのもすべて自動ドア化し、そもそも、工場内を非接触で通過する、という環境をつくりました。

また、外部とつながるドアで開けっぱなしとなる通路を見直し、物資搬入や人流から開けたままとなりやすいドアは必ず閉め切れるような仕組みをつくり、異物の混入もあらためて防ぐように見直しました。

この結果、検査で検出される汚染製品がほぼなくなりました。

ドアという点に絞ってのみの観点ですが、これは実際に、私自身が聞いたものです。

そして、流れ、考え方としては、HACCPとは、まさにこの手法、考え方だと思っています。

実際は、管理すべきポイントはもっと多岐にわたりますが、大事なのは視点、ものの見方、危険を分析、改善し、これが再発しないような仕組み化をすること、最良の衛生基準をもって食の衛生が保たれる環境を構築すること、それがHACCPだといえます。

たしかにこの方法は手間もコストもかかかります。

しかし、結果としては、これは生産効率と利益増加にも繋がる話です。

また、この工程を経たうえで万が一、問題ある製品が市場に流出した場合、すでに危険項目を分析、管理しているわけですから、どの工程のどの段階で、どんな問題があったのか、迅速にわりだせます。

結果、生産側として速度ある市場対応が可能となり、リカバリーまでのダメージも最小限で食い止められます。

HACCPのガイドライン「7原則12手順」

haccpと7原則

HACCPについて、もう少し具体的にお話ししましょう。

HACCPにはガイドラインとして、「12の手順」があります。

12の手順は前後にわかれ、とくに後半の7つはHACCPの基本的な考え、遵守する原則でもあり、手法(プラン)作成の指標となるため、「7原則12手順」という言い方をすることもあります。

12手順の前半5つは「準備」

準備なくして、どんな手法の運用もできません。

HACCPでも、危険分析、その管理のために必要な体制づくり、作業を12の手順のうち、前半5つで提示しています。

いわゆるPDCサイクルのうちの、P=planにあたるといってもよいと思います。

前半5つ、各項目は以下の通りです。

1.「HACCPチームの編成」
2.「製品説明書の作成」
3.「意図する用途及び対象となる消費者の確認」
4.「製造工程一覧図の作成」
5.「製造工程一覧図の現場確認」

大切なのは、この課程でのHACCPについて知識をもった指導員、リーダーの存在です。

HACCPの指導、管理を行える能力がある資格としては、民間のものであはりますが、「HACCP普及指導員」、「HACCPリーダー」「HACCP管理者資格」というものがあります。

これらの有資格者でなくとも手法をすすめることはできますが、やはり十分な知識がないとHACCPの基準を満たせないものとなります。

また、内部で人材を確保出来ない場合、外部からHACCP知識のプロを招くなどの方法もございます。

いずれにしても、1~5において、まずはしっかりとした準備体制をつくることが大事です。

12手順の後半「7原則」

後半はPDCAのA=actionに当たる部分です。

前半で決めた体制と手法にもとづき、悪いところを見つけ、対処し、半永久的に再発しないように処置し、かつそれを繰り返していくことなります。

具体的には、以下のようになります。

6.「危害要因分析の実施」
7.「重要管理点(CCP)の決定」
8.「管理基準(CL)の設定」
9.「モニタリング方法の設定」
10.「改善措置の設定」
11.「検証方法の設定」
12.「記録と保存方法の設定」

企業の生産現場でのQC(品質)工程表などを目にした事がある人は、ピンとくると思いますが、内容そのものは真新しいものではないと思います。

ようするに、ダメなところをみつけ、管理し、ちゃんとそれが維持できているか管理するものです。

HACCP(ハサップ)に関する認証や資格

HACCP認証は、HACCPの手法に基づいた衛生管理を行っている事業者であることを第三者が認めた証です。

認証は大きく分けると、地方自治体が認証する「地域HACCP」、日本惣菜協会など、製麺や食肉加工など各方面の専門的な団体が認証する「業界団体HACCP」、厚生労働省の「総合衛生管理製造過程」、民間企業独自の認証である「民間HACCP」の4つがあります。

公・民間、業界には様々なHACCP認証が存在します。

厚生労働省の認証は信用力が高いといわれたり、地方自治体の認証では取得のしやすさにバラつきがあったりするなど、それぞれ異なる特徴があります。

認証を取得するためには、数十万円程度の費用や、数ヶ月の期間が必要です。

HACCPの資格は、専門知識を有しプランの作成や運用などができる人物であることを証明するものです。

具体的には、公益社団法人日本食品衛生協会が定めている「HACCP普及指導員」や日本食品保蔵科学会が設ける「HACCP管理者資格」、一般財団法人日本規格協会が設ける「HACCPリーダー」などがあります。

HACCP普及指導員の資格は、研修を受けて申請すれば資格取得が可能です。

一方、HACCPリーダーは他の資格とは異なり、取得のためには一定期間の実務経験が必要になります。

これらの資格は国家資格ではないので、管理する際に有資格者がいなくても問題はありません。

しかし、有資格者がいることで、より正しい手順で導入を進めていけるというメリットがあります。

2020年6月からHACCP(ハサップ)が義務化されたの?

2020年6月から「改正食品衛生法」が施工され、2021年6月からその改正法にもどつき、HACCP義務化が盛り込まれました。

この改正食品衛生法では、事業者規模(従業員数50名以上と以下)を目安に二つのグループにわかれています。

わかりやすく言えば、小規模な事業者は12項目のうちの前半5つ、HACCPの考えにもとづいた衛生管理計画の作成、実行や確認を求められます。

大規模事業者はさらに後半7原則についての要件名を満たした衛生管理と実際に行っている記録の管理が必要です。

どうやってHACCP義務化への対応すればよいの?

HACCPはすでに2021年6月から義務化がはじまっています。

義務化の無視や、満たない条件での食品加工を行った場合は営業許可証の更新不可はもちろん、罰則、罰金の対象にもなります。

会社の経営にも直結する大きな問題でもあるため、早期に対応することが必要です。

先にも述べたとおり、HACCPは考え方ですので、これにもとづいた管理手法をおこなえば、よいというものです。

ただし、それでも第三者に認定があったほうが、進めやすいのも確かです。

ですので、もしHACCPについての導入がはじめてであれば、この義務化を機に第三者機関によるHACCP認証をとる、という方法がおすすめですす。

HACCP認証は公的、民間のもの、地域団体のものなどがあります。

具体的には、認証難易度的には公的なものとなる厚生労働省の「総合衛生管理製造過程」がもっとも厳しく、そのほか、「地域HACCP」「各業界団体HACCP」「民間HACCP」などがあります。

また、認証を取得するためには、費用がかかりますし、また最長で半年程度の時間がかかる場合もあり、その点も留意する必要があります。

HACCP対策で自動ドアを導入するならファースト・レイズへ

弊社ファースト・レイズは自動ドアを後付けで設置する専門業者です。

HACCP対策で、自動ドアを導入をお手伝いさせていた事例も数多くございます。

お見積もりは無料ですので、まずはご相談ください。

株式会社ファースト・レイズCEO

この記事を書いた人

株式会社ファースト・レイズ代表・八木幹夫。2級建築施工管理技士。日本電産サーボ株式会社にて自動ドアなどの産業機器向けモーターの技術営業を5年経験した後、株式会社ファースト・レイズを設立。後付けに特化した自動ドアの開発・施工販売をしています。趣味はドライブ、アウトドア、読書、車いじり。

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HACCP対応のために後付けで自動ドアを取り付けた事例