建築業界でよく言われる自動ドアの寿命は「10年~15年くらい」
お客様からよく「自動ドアってどれくらい使えるの」ってという質問をいただきます。
とても気になりますよね。
まず、一般的な回答というか、建築関係の業界でよく言うのは、「10年~15年くらい」というものです。
実際、ナブテスコさんをはじめとした大手の自動ドアメーカーでは、施工から10年たったころに故障した場合は、新品にすべて交換という感じで対応していることが多いようですね。
もちろん、正常に動く部品は使い回す、という形でご対応されているかと思います。
ただし、上記の場合は、定期メンテナンス契約していることが前提です。
もし定期メンテナンスを契約していない場合は、まったく違う対応になるかと思います。
へたしたら、5年くらいでフル交換することになった、という話も聞いたことがあります。
自動ドアの税制上の耐用年数は12年の減価償却
もうひとつ、別の観点から。
自動ドアは固定資産となりますので、税務上の耐用年数が決まっています。
それによれば、12年で減価償却することになっています。
その意味でも、10~15年というのは、建築業界や大手メーカーさまの回答は正しいのだと思います。
ですが、実際のところはどれくらい持つのでしょうか?
実際のところは40年くらいは持つ、、かも?
ここからはより突っ込んだ話です。
私たちはYKKなど古い自動ドアの修理もよく行いますし、しばらく休眠状態だった店舗のリフォームなんていう内容のご依頼を受けることもあります。
最近も1980年製の自動ドアを見ましたが、異音がありながらも、一応、動いていました。
実際のところ、40年近く動く自動ドアもときおり見かけます。
ただし、40年も動くにはさまざまな条件が必要となってきます。
自動ドアの寿命に関わってくる重要なパーツは2つ
自動ドアの寿命に関わってくる重要なパーツは主に2つあります。
自動ドアのモーター軸にあるベアリングとモーターの駆動を制御する電子部品です。
モーター軸を固定するために使うベアリング
まずはモーター軸を固定するために使うベアリングから。
ベアリングの寿命の要素はいろいろありますが、日本製であれば、どんなに安いものでも20,000時間はしっかり動きます。
自動ドアの一度の開閉でモーターが動く時間は5秒。
これを開閉回数がかなり多いドアと想定して、1日1,000人が通過し365日使うとします。
すると、一年間の使用時間は5秒×1,000回×365日÷3600(秒を時間に)=506.9時間となります。
つまり、モーターは作動時間は1年間で506時間程度しかないわけです。
これをベアリングの一般寿命である20,000時間から逆算すると、およそ39年程度はモーターは生きるという計算が成り立ちます。
モーター内部の電子部品とそれを制御するドライバー
自動ドアのモーターは、内部に電子部品を積んでいて、これを制御するための頭脳(ドライバー)があります。
無責任なことを言うようですが、実際のところ、こうした電子部品、半導体の寿命はあってないようなものです。
家電で考えるとわかりやすいかもしれません。
同じメーカーのものを同じ時間使っているのに、一方は突然壊れるのに、他は壊れずに何年も動き続けるような経験をしたことがないでしょうか。
あれは半導体などの電子部品が突然死するからです。
半導体が壊れる原因は、非常に複雑な環境要素があります。
私は前職でモーターの新規開発と提案営業をやっていましたが、その経験でいうと、ブラシレスモーター搭載のIC等の故障原因で一番大きいのは、振動と熱です。
それについで、湿気や乾燥による静電気だと思います。
自動ドアは常に動いているわけではないので、内部発熱の問題はないのですが、やはり振動はあります。
とくにベルトや金具に問題があるドアを動かし続けていると、それがモーターへ悪影響を起こします(実際、そういう試験をやっておりました)。
また、湿度については、結露が大敵です。
ショートの原因となります。
乾燥による静電気は、、もう運としかいいようがありません(笑)
ついでいえば、IC部分以外のドライバー(センサーなどと連動して動かすための頭脳にあたる部品)も電子部品のかたまりです。
こちらも突然、壊れます。
ここに関しては、もうお手上げなところはあります。
つまり、自動ドアはベアリングが問題なく稼働するなら40年持っても不思議ではない。
ただし、電子部品が突然死する可能性があり、こちらは環境による不確定要素が多く、なかなかコントロールできない。
だから、なかなか自動ドアの寿命の算出は難しい、というのが結論です。
10年たったら一度点検することが好ましい
というわけで、自動ドアの寿命を算出するのはかなり難しいのですが、少なくとも長く保つ方法はあります。
それは、モーターに余計な負荷や故障要因を作らないため、異音などがする前、あるいはしたらすぐに点検すること、つまりメンテナンスです。
もちろん、電子部品の寿命に関して、これですべてカバーできるわけではないですが、それでも故障の確率は減ります。
実際、産業機器向けのモーターの不具合解析をしていたとき、ICそのものが死ぬのと同じくらいの確率で、取り付け不具合による振動を原因とする後天的なハンダクラック(電子部品を取り付けているハンダが割れてしまう現象)がありました。
これは防げる不具合です。
つまり、定期メンテナンスによって、自動ドアを健全に保つことは、結果として、重要部品であるモーターなどの保護、長寿命化に寄与することになります。
後付けによる自動ドアの施工と古くなった自動ドアの修理を承っております
弊社は、自動ドアを後付けで取り付けることを専門にしている会社ですが、自動ドアの修理、メンテナンスも承っております。
とくに、YKK様、ダイハツ様、パナソニック様など自動ドアの取り扱いをやめてしまった製品にも対応しております。
お気軽にお問い合わせください。
この記事を書いた人
株式会社ファースト・レイズ代表・八木幹夫。2級建築施工管理技士。日本電産サーボ株式会社にて自動ドアなどの産業機器向けモーターの技術営業を5年経験した後、株式会社ファースト・レイズを設立。後付けに特化した自動ドアの開発・施工販売をしています。趣味はドライブ、アウトドア、読書、車いじり。
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